メプラーナ セマ スーフィー ルーミー 毎週土曜日の夜
コンヤといえばトルコの奇僧ナスレディンホジャの活躍した懐かしい町だ。一休禅師と良寛さん、落とし噺の安楽庵策伝などをゴッチャにした実在だか虚構だか、いずれにしても故郷といわれている。
そこに伝えられているのが神秘教団メブラーナの旋回舞踏セマだ。その音楽をスーフィ、創始者がルーミー、どれかを言えば分ってくれる。死者とおそろいの白い上着と長いスカート、墓石の形をした高い帽子、もちろんイスラム教徒なのでヒゲは長く伸ばしている。夢見る表情で夢見るように旋回する、深い瞑想の中で自我に没入して旋回するだけだ。音楽がそれを支え、厳しい顔をした黒衣の指導者が片隅から注視している。
見物客のためにスポットライトの色が変わる。ゆるやかに優雅に休むことなく旋回だけを続けている、不思議な儀式だ。
短い声がかかるといままで何十分も回っていた僧侶たちはすっと止まって一礼し静かに引っ込んでいく。足をもつれさせたり頭をぐらつかせたりする者は誰一人いない。