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カーニバル

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 カーニバルにも世界三大があるそうだ、リオとヴェネチア、これは文句なし、もう一つはご当地自慢があるのでうかつに言えない。ニューオルリンズのマルディグラ(カーニバルは色々呼び名があって日本では謝肉祭、中国では狂歓節というそうだ)はアメリカ好みの陽気なパレードだ。ニースも名乗りを上げるしマニラだって負けない。しかしリオほど派手なところはない、世界一だ
ヴェネチアは教皇庁と縁が深いので仮装も他の地域よりはるかに奥が深い。あの口ばしのような尖ったマスクもペストと因縁があるし、真っ白な顔もコロンブス所縁の病気とかかわっているそうだ。ゆったりと重ね合わせた衣装も布地からして中国、インド、アラビアからの到来だし、夕暮れの海辺を影のように歩いていくのも神秘的、幻想的で東洋哲学を思わせる。
 コンテストで選ばれた七人のマリア様が茶色の衣装でパレードするから祭りが始まる、いわば葵祭の斎王代というところから。祭りの最後にコンテストがあって「今年の仮装大賞」が表彰される。素顔で賞状をもらうのか仮装のままなのかは見ていないので知らない。
 中世そのままの細い路地で黒ずくめのくちばしの長い貴族とすれ違う、石畳の広場には王と王妃が物憂げにたたずんでいる。小さなカフェの奥の椅子に公爵夫人が座っていてカプチーノを召し上がっている。高貴な女性は実は男かもしれない。リオは裸を見せつけるがここでは顔身体すべてを覆いつくして隠してしまう。リオは開放的でエネルギッシュだがヴェネチアは不気味で不健康だ。気候の違いもあるのだろうが、ヨーロッパの他のカーニバルはどこも仮装、フロート、パレードどれをとっても快活だ、ヴェネチア独自の演出なのだろう。
プラスチックの仮面を安く売っている、中国製だ。もちろん豪華で高価な貸衣装屋もある。観光客はレストランやカフェにあふれているがカーニバル値段だ。ベトナムやアフリカからの出稼ぎウェイターが忙しく立ち回っている、たぶん主人は仮装して町を歩き回っているのだろう。2泊もすれば同じ仮装の人と何度も出会うがホテルは高いし外は寒い。